ピロリ菌と胃がん

なぜ慢性胃炎があると胃がんになるのか?



 日本人の2人に1人がピロリ菌陽性という調査結果があり、ピロリ菌は私達には最も身近な細菌の一つです。ピロリ菌の感染は慢性胃炎や胃潰瘍を繰り返し引き起こします。しかし最近の研究では、胃がんとも関係があることがわかってきました。


なぜ慢性胃炎があると胃がんになるのか?
私たちの体は「いつも炎症が続いていると細胞が変化しやすい(がん化しやすい)」ことがわかっています。炎症があると活性酸素が多量にできるため遺伝子が傷つき易いのです。


胃炎から胃がんになる確率は?
ピロリ菌に感染していると年間0.4%の確率で胃がんになると統計的に予測されており、 WHO(世界保健機構)は1994年に、「ピロリ菌は煙草なみの発がん物質」と発表しています。


ピロリ菌がなければ胃がんにならない? No Pylori , No Cancer ?
厳密に調べると胃がんの患者さんでピロリ菌陰性の方は「非常に稀(1%)」です。したがって ピロリ菌が無ければ胃がんにはならないと言えます。


ピロリ菌除菌による胃がんの予防
最近中国で行われた大規模な比較臨床試験で、ピロリ菌除菌による胃がん予防効果が確認されました。日本でもいくつかの追試が行われ、除菌により胃がん発生が3分の1~6分の1に減るとの報告が相継ぎました。


ピロリ菌感染の診断法は?
ピロリ菌の有無は、呼気や血液や糞便で調べられ、体に負担の少ない検査ができるようになっています。


ピロリ菌の治療は?
ピロリ菌の除菌治療は3種類の薬を一週間服用する治療で、成功率は90%と良好です。
現在のところ、除菌治療の保険適応は潰瘍の方に限られていますが、今後更に慢性胃炎にも適応が拡大されることが望まれます。

H20/2 朝日サリー掲載