すい蔵がん

早期発見が難しく治療も困難ながん



すい臓がんは早期発見が難しく、現在でも治療の困難ながんの代表です。
すい臓がんは近年増加傾向にあります。死亡率でみると、年間がん死亡の約6%を占め、死亡順位では、肺、胃、 大腸、肝についで5番目に多いがんになっています。
 増加の原因は、高齢化が最も大きい要因ですが、特徴的な症状が少なく、有効なスクリーニング検査法もないため、発見が難しいことも原因です。
男性に多く、60歳以上で急増します。病因は不明ですが、糖尿病や慢性膵炎例に発生しやすい傾向があり、また喫煙との関連も最近注目されています。
症状では、上腹部や背部の痛みや食欲不振、体重減少、黄疸などがみられますが、特に注意すべきは糖尿病で、急に糖尿病を発症したり、糖尿病の方で急にコントロールが悪くなったりした場合は要注意です。
診断には、超音波検査,CT検査,内視鏡的膵胆管造影法,超音波内視鏡検査といった画像診断検査が行われます。特に超音波検査とCT検査は、苦痛を伴わず診断能も優れた検査法であるため、最もよく用いられています。また最近ではPET検査も有効な検査になりました。
治療の基本は、手術でがんを切除することです。腫瘍の大きさが2cm以下の場合には、根治手術ができる可能性があります。しかし実際にはすい臓がんは進行が早いため、診断がついても根治手術ができない例が多いのが現実です。
したがって、がんの疑いが少しでもある場合、速やかに専門医を受診するのが良いでしょう。また糖尿病の方は、症状がなくても超音波やCT検査などを定期的に受けておくことが、早期発見のうえで大切です。


H29/6月号 朝日サリイ投稿